脳神経内科 研究内容
脳神経内科では、講座の歴史の中で受け継がれた研究が発展し、最新の分析技術を駆使した研究と融合し、新たな臨床エビデンスや診断・治療法の開発に関する報告を創出しています。
図1にあるように、多くの疾患に対して、最新技術を駆使した研究アプローチを行っていますので、興味のある方は是非一緒に取り組んでみましょう。脳神経内科疾患は、多様な病因と発症機序に基づいて、中枢神経から末梢神経・筋に至るまで体全体の異常をきたします。難しい症例に出くわした時、病因から発症機序、治療方針決定に至る過程を理解することが必要で、どの領域の疾患に対しても研究ができる体制が整っています。
脳卒中・認知症研究
30年以上継続してきた伝統ある脳ドックで、数々のエビデンスを創出してきました。島根大学医学部病理学講座などとの共同研究で、数千例の高次機能心理検査、頭部MRIなどのデータから、脳卒中のリスクファクターや予後決定因子の検出を行い、AIを用いた大脳萎縮の分析により軽度認知症からアルツマイマー病発症予測システムを開発しています(図2)。簡易的な認知症検査アプリを考案して地域健診で活用しています。また、事象関連電位や機能的MRIなどによる非侵襲的脳機能局在研究手法を用いて、大脳高次機能の研究に取り組んでいます。
疾患の機序解明や診断法の確立
島根大学総合理工学部や生物資源学部、ラマンプロジェクトセンターなどと共同で、図1に示すような最先端分析技術を用いて、疾患モデル動物の分析や患者検体(血液・尿)サンプルで測定を行なっています。Cystatin C沈着型cerebral amyloid angiopathy(CAA)の髄液cystatin C濃度をELISA法で測定し、診断法を確立しました。また、遺伝性神経疾患の遺伝子診断や神経疾患発症とSNP異常の関連研究などを行なっています。
神経疾患の治療ストラテジー構築
ヒト脳梗塞急性期治療のエビデンスを分子レベルで確認しています。脳梗塞や神経変性疾患に対するヒト由来不死化神経幹細胞株・骨髄間葉系幹細胞株・ミクログリア細胞株移植を動物モデルで行い、実用化に向けて検討を重ねています。また、ナノ粒子や機能性食品、植物由来成分を抽出し、疾患モデル動物での効果を検証し、臨床治験で効果を確認するなど、認知症疾患医療センターの活動を通じて、認知症や神経変性疾患の治療について、基礎・臨床の両面からアプローチし、研究業績を挙げています。